夜に書く

@chikachi1053 雑記とお返事

うつし世のためのお伽話(プリンセスチュチュ感想とハグプリのこと)

 プリンセスチュチュの感想とか。スタッフさん繋がりでハグプリのことも書いてます。どっちもがっつりネタバレしてるので、これから見ようとしている方はご注意を!

 

 

 昨日から見始めたプリンセスチュチュ、次どうなるんだろう…の気持ちが止まらなくなって、次の日の昼にはもう見終えてしまった…。かわいくてメルヘンなおとぎ話、ただよう不気味な雰囲気・音楽・キャラ造形、自問自答と葛藤、そのほか諸々の大好きな要素てんこ盛りでめちゃくちゃ素敵な物語でした!なぜもっと早く見なかったのか…。

 リアルタイムで序盤を見てた頃もあったんだけど、ふぁきあとみゅうとのすさまじいBL臭とちょっと怖い雰囲気しか覚えてなかった。ふぁきあとあひるの関係が変わっていくことを大人になってから知ったんだけど、じゃあ見よう!〜そして数年の時が経ち〜って感じで今までちゃんと見れてなかったんだよね。やっと見れて良かったです。

 見終わった感想としては、


 ハッピーエンドで良かったーーー!でも切ない!良かったけど良かったと素直に言えない!!!つらい!!!だけどそれはわたしのエゴ!ウワーーーーーー!!!


 って気持ちが正直なところです。ねえ、みんなどんな顔であのラストを見たの…。

 あひるがただのアヒルに戻っても、人としてふぁきあのそばにいられなくなっても、本当の姿で自分の物語を歩いていくこと、それがあひるとふぁきあの望みだったからこれで…これでええんや…って自分を納得させようとしてるけど、普通につらくないですか?でもそう思うこと自体、物語の向こう側にいる作者と戦ったふたりに対してとても失礼なことなのでは…と考えたりして、わたしはもうどうしたらいいかわからないよ…。

 でも再びあひるが人間に戻ることはできなくても、あひるの残したものはちゃんとあの世界に残ってる。なぜか真ん中を空けて歩いてしまうぴけとりりえだったり、ずっとそばにいるというふぁきあの約束だったり。女の子のあひるもチュチュとしてのあひるも、姿はただのアヒルでも彼女の中に息づいているんですよね。


 卵の章まで見終えたとき、あまりにも無駄がなく緻密に綴られた物語にものすごい感動を覚えたんですけど、そもそもそういう風になるよう作られた物語だったんだから当然のことなんだよね。って気づいて暴れ回りたくなった。メタに取り込まれてる!

 ドロッセルマイヤーにとっての一番の計算外は、ふぁきあが倒れたまま幕を閉じるはずだった章の終わりに、彼の操り人形だったエデルさんが他人のために自分の身を燃やしたことなんじゃないかなあと思う。エデルさんの燃え残りで作られたうずらは物語の登場人物ではないから、時間が止まってもみんながカラスになっても、はたまた物語の外側においても自由に動くことができた。それが物語の根幹を揺るがす鍵になっていたのかなと思います。


 わたしはハグプリを見てからチュチュを見て、しかも総監督が同じひとと知ってから見たので、いろいろと重なるところがありすぎて興奮してました。

 何でもできる。何にでもなれる。自分の意思で明るい未来をつかみ取ることを唱えていたハグプリ。

 舞台装置じゃない。誰かの操り人形なんかじゃない。自分の物語は自分で決めることを叫んでいたチュチュ。

 佐藤さんは十何年経っても変わらないテーマを描き続けているんだなって…胸が熱くなる。


 ハグプリの時にも思ったんだけど、要所要所、物語的にはおいしいであろう感動展開に進めていかないところがすごく好きだな〜って…。

 ハグプリでいうと


 ・はなちゃんとはなちゃんをいじめた相手が和解する

 ・怪我をして選手生命を絶たれたアンリくんの足が完治する

 ・ハリーへの叶わない恋が成就する

 ・ルールーが今の時代に残ってくれる


 とかかなあ。みんながみんな完璧に救われるような物語だってわたしは好きだし、それは否定されるべきものではないです。でも、本当に起こってほしい奇跡を起こさないことで、物語の登場人物を装置としてではなく、ひとりひとり生きている存在として尊重しているんだなと感じていました。

 物語はその結末を迎えれば、読み手としてはいったんそこで終了する。けれど物語が終わったとしても登場人物それぞれにも彼らの人生があり、わたしたちが閉じた物語の中でずっと続いていくものなんですよね。わたしたちが知らないだけで彼らの現実を生きていく。

 レーツェルはカロンに思いを告げず別の人と結婚する。猫先生やアリクイ美ちゃんのように動物がしゃべる世界は消えてしまう。あひるは人間にはなれず湖を泳ぐアヒルのまま。

 ハグプリもチュチュも奇跡の物語なんかじゃない。ちゃんと傷ついて、悲しんで、けど喜びを感じられて、そんな現実への回帰を目指す物語だと思ってるから、すごく誠意のある終わり方だと思います。辿るのは望んでいた道じゃなくても、自分の意思を大事にしていればそれがこれからの道行きを照らす希望になって、また別のかたちで幸せをもたらしてくれる。現実ときちんと向き合った上で、前向きな答えを提示してくれる作品でした。


 あ、あと12話のふぁきあの破壊力はなに?今までのやなヤツ!感があるからこそのギャップ萌えが…。ただの思春期じゃん!!!これ、かもかてのタナッセが愛情反転した時に覚えた感情と同じやつだ…。そのうえ終盤にふぁきあがあひるのことを慈しむような目で見たり、優しい声で答えたりするのが…だからこそのラストが…泣いちゃう…。

 そしてドロッセルマイヤーとジョージを重ねてみたり。ジョージは「そしてお姫様は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」のままを望んでいたから、ドラマティックな悲劇を求めていたドロッセルマイヤーとはまた違うんだろうけど。でも、クライアス社員をプリキュアを成長させるためのかませ犬として認識してたところとか、はなちゃんは別として誰も彼も舞台装置としか思ってなかったんだろうな〜。ドロッセルマイヤーだ…。

 


 ぜんぜんまとまってないけど感じたこと勢いで書いたらすっきり!普通に円盤欲しくなったな…。いまは宝物みたいな気持ちでチュチュのことを思います。ナイトメアプロジェクト好きなひとは惹かれる部分多いと思うから、ぜひ見てほしい〜!FODとHuluとバンチャとdアニメストアで見れるので…何卒…。

 

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